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【メンバーインタビューvol.3】メーカーからスタートアップ、そして独立へ:信頼を軸に歩む鎌田陽子さんの広報スタイル

広報47運営チーム

フリーランス広報47コミュニティのメンバーにスポットを当てたインタビューシリーズの第3弾。今回は、広報・PRコンサルタント。大手メーカー、人材ベンチャー、AIスタートアップなどで幅広く広報を経験したのち、2023年にLEORIS合同会社を設立した「鎌田陽子さん」にお話を伺いました。


・第1弾〜おしえ みきさん編はこちら

・第2弾〜徳川むつみさん編はこちら

プロフィール

プロフィール

鎌田陽子さん(かまだようこ)

LEORIS合同会社 代表

・大手製造業、人材メガベンチャー、AIスタートアップなどの企業で広報担当

・2023年、LEORIS合同会社を設立

・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA)

・英国CMI認定 Sustainability Practitioner

現在は企業や自治体の広報支援、危機管理、担当者育成などに携わり、「広報は信頼を築き、サステナブルなビジネスに貢献するもの」という想いを軸に活動。独立後は戦略立案から危機対応まで幅広く手掛け、SNSやnoteでも広報の役割を発信しています。今回は独立のきっかけや案件獲得の工夫、学び続ける姿勢、広報に求められる役割について伺いました。

「なるようになる」から始まった独立の道

いま取り組んでいるお仕事や働き方を教えてください。

鎌田さんが手がけるのは、企業や自治体の広報支援。広報部門の立ち上げ、戦略立案、広報担当者の育成、そして近年増えているのが危機管理対応です。案件は紹介が中心で、既存のつながりから自然と広がっていきました。

平日はもちろん、自治体イベントは土日に開催されることも多いので、働き方は曜日に左右されません。日々の仕事は曜日関係なく対応しながらも、良い仕事のためには心の余裕も必要なので、休みもきちんと確保するようにしています。リモートを基本に、自分のリズムで動いています。案件によってはSNS運用やクリエイティブ制作を外部に委託することもありますが、戦略設計や重要な判断は自分で担っています。

– 独立を決めたときの気持ちや、そのときに感じた不安はありましたか?

実は覚悟を決めたというより“なるようになる”という気持ちでした。法人登記を先に済ませていたのですが、その直後に勤め先の業績が悪化し、会社に残るか新しい道を選ぶかの選択を迫られたんです。せっかく作った法人を生かそうと思い、独立に踏み切りました。

最初の仕事は、前職でつながりのあった方からの紹介。AI系スタートアップの広報を手伝ったのが出発点でした。その後、SNSで独立を公表すると、知人や元同僚から「うちも手伝ってほしい」と声がかかり、営業活動をせずとも仕事が広がっていきました。

私自身、性格的にあまり悩まないタイプなんです(笑)

眠れないほど不安になることもなく、“どうにかなるだろう”と前向きに、進めてきました。

仲間とのつながりがつくる信頼関係

-お仕事を始めるにあたって、「やっておいてよかった」と思う工夫はありますか?

法人設立の際にすぐコーポレートサイトを作ったことですね。銀行口座開設の実務的な意味もありましたが、信頼の基盤として役立ちました。特に法人口座の開設にあたっては、“ノーコードの簡易ページでは不可”というケースもあり、このような場合は、CMSを用いたサイトの用意が求められます。これはこれから法人化を考える人にもぜひ伝えたいポイントです!

-実際に、どんなきっかけで案件がつながっていったのでしょうか。

知人や元同僚からの紹介がほとんどです。だからこそ大切にしているのは“信頼される存在であること”。クライアントの誤解は、そのままにしません。例えば、『プレスリリースの転載数が成果』と考える企業がいたとしたら、それは目的ではないですよ、と率直に伝えます。

時に耳の痛いことも正直に伝える姿勢が、逆に信頼を深めていると自分自身は思っています。単に依頼通りに動くだけではなく、「それは本当に意味があるのか?」「もっと効果的な手段はないか?」を共に考えるパートナーとして関わる。そのスタンスが長期的な関係に繋がっていると感じています。

-ご自身の発信やブランディングについては、どのように考えていますか?

ホームページやSNS、noteでも発信していますが、案件獲得のためというより、実は、広報に関する誤解を解きたいという思いが強いんです。広報は”メディア露出を増やすこと”といった一つの手段にばかり注目が集まったり、認知や売上向上のような、本来広報の機能として向かない役割を担うことになっていたりなど、必要性を認識されながらも誤解されていることが多いと感じています。ですが、本来は信頼を守り、育てることこそ本質。その認識を伝えることを意識しています。

SNSでの発信は、単なる営業ツールではなく、私にとっては広報の役割を正しく理解してもらうための「啓発活動」の場。だからこそ、内容は派手さよりも誠実さを重視しています。

学びを止めない自分らしい目標管理スタイル

-フリーランスになってから、時間の使い方や働き方で工夫していることはありますか?

私は“クライアントワーク”と“自分のビジネス”の二軸を意識しています。案件に追われてばかりだと、自分に何も残らないまま終わってしまう。だから、ビジネスを成長させるための取り組みや、自分のキャリアや学びに投資する時間を必ず確保しています。

その工夫のひとつが「月ごとの目標管理」です。

年間でやりたいことをリスト化し、それを月ごとに割り振ります。月末には達成度を振り返り、翌月の計画に反映する。クライアント案件と並行して、自分の学びや取り組みが確実に前に進むようにしています。

-普段どんな学びを意識して取り入れているのか教えてください。

会社員時代にMBAを取得し、経営知識を体系的に学んだことは今につながっています。経営層との会話や案件獲得にも直結しましたし、MBAコミュニティでの出会いがそのまま仕事に発展することもありました。

現在は社会課題に関するスクールに通う準備を進めています。
PRの現場でも社会課題と直結する事案が増えています。課題設定を明確にし、事業や社会の双方に意味ある広報を行うために、体系的に学びたいと考えています。

-PR以外の勉強も大切だとおっしゃっていましたが、どのような理由からですか?

広報の知識だけでは解決できない課題が増えているからです。ブランド、マーケティング、財務、サステナビリティ…。周辺知識があることで広報の提案が深まります。だからフリーランスの方には“PR以外も学ぼう”と強調したいですね。

私自身も「イントラパーソナル・ダイバーシティ(個人内多様性)」を意識し、多様な経験を自分の中に取り込むことを大事にしてきました。その一つ一つの学びや経験の積み重ねが、今の広報スタイルの礎になっていると思っています。

共に育てる広報の未来

-最近のお仕事のなかで「広報の変化」を感じることはありますか?

危機管理の重要性が高まっていると感じますね。以前は“大企業の話”と捉えられていたことも、今はスタートアップも例外ではありません。炎上やネガティブな情報拡散への備えは必須です。また、社会全体で“情報の信頼性に対するのか”という目線が厳しくなっているのも大きな変化です。

だからこそ私は「想起より信頼」を軸に据えています。
フリーランスPRも案件獲得のために“名前を覚えてもらうこと”に意識が向きがちな方も多いですが、長い目で見れば信頼こそが残る。企業にとっても、個人にとっても、信頼される存在になることが最重要だと思います。

-これから挑戦してみたいこと、広げていきたいことはありますか?

従来のPRの枠にとらわれず、もっと自由な発信や仕掛けに挑戦したいです。PRは本来、社会や事業を前に進めるための手段。型にはまらない面白い取り組みをやってみたいですね。

-フリーランス広報を目指す仲間へのアドバイスをお願いします!!

広報以外の経験や学びを積むこと。PR会社や事業会社、異なる規模や業種を経験することで、独立後の強みになります。何より“信頼”を大事にしてほしいですね。

さらに「多様な経験を積むこと」の重要性も繰り返し強調します。
1社の経験だけで独立するのは正直難しい。複数の会社で、異なる業種やフェーズを経験しておくことが、その後の武器になります。クライアント側もフリーランスが増えた今、選べる立場にあるからこそ、経験値と信頼感が決め手になると思います。

編集後記

悩まず自然体でいながらも、学びを欠かさず、正直さと信頼を大切に歩む鎌田陽子さんの言葉からは、肩肘を張らない強さと誠実な広報人としての想いが伝わってきました。フリーランス広報を始めたばかりの方にも、すでに活動している方にも、「信頼こそが最大の資産」という姿勢は、きっと大きなヒントになるのではないでしょうか。

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